Category : 大人への入口はここだった?

ホームドラマは家族の絆

70年代はホームドラマの全盛期。家族みんなで楽しめる良さがありました。特にTBSはドラマに強く、「肝っ玉母さん」「ありがとう」「時間ですよ」など数々の名作を制作しています。「ドラマのTBS」などとも呼ばれていました。

団地が誕生し核家族化が進む時代において、家族の絆を大切にしよう!というテーマをホームドラマの多くが持っていました。オヤジは頑固者、母親は心優しいが心配性という設定が多く、目指すべき親のあり方を示してもいました。その中の一つが「寺内貫太郎一家」。喧嘩ばかりしている家庭の話です。

異色のキャスティング

出演俳優の選び方が変わっていました。日立の「この木なんの木」やレナウンの「イエ・イエ」などで売れっ子となった、作曲家の小林亜星を主役に起用。アイドル歌手として人気絶頂の西城秀樹をその息子役に。当時30才を過ぎたばかりの悠木千帆を70才のおばあさん役に起用しました。

父親役の小林や母親役の加藤治子よりも、おばあさん役の悠木のほうがずっと若いという年齢構成。それでも、まったく違和感がありませんでしたので、悠木という女優は素晴らしい演技力をもった人なのでしょう。沢田研二のポスターに向かって「ジュリー」と叫びながら興奮して腰を振る演技など、笑いを取る場面も強烈な印象を残しました。

最後は喧嘩をしておわり

毎回毎回何がしかの事件がおこり、最後は父親の小林と息子の西城が、「バカヤロー」と叫びながら茶の間で取っ組み合いの喧嘩を始めます。その間、周囲がてきぱきとちゃぶ台を片付けるなどする様子もコミカルで、いさかいはシリアスにはなりません。「頑固オヤジ」対「今時の若者」という世代間ギャップを演出していましたが、構図そのものは時代とはマッチはしていません。

当時既に「一昔前」とみなされていた古い親子関係に設定していた訳で、親子の確執を「良いもの」として描こうとする意図があったと思われます。「親子なら、喧嘩したっていいじゃないか」という素直で心の通う家族を推奨していたのでしょう。親が子に遠慮する風潮に対する警鐘を鳴らしていた、「父親は父親らしく」という「男のあり方」をみせていたとも言えます。

DVD化されておりレンタルもあります。CSの「TBSチャンネル」で再放送されており、「TBSオンデマンド」でも視聴できます。 「理不尽だろうと何だろうと父親の意見は絶対だ」という古いタイプの親子関係や、遠慮なく喧嘩し最後には和解する姿。親子の心の交流のあり方を思い出させてくれるドラマです。

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