Category : 懐かしいあの歌をもう一度

いとしの林檎たち

山田太一の代表作の一つ「ふぞろいの林檎たち」。三流大学の学生たちの「うまく生きられない」人生をセンチメンタルに描きました。主題歌「いとしのエリー」が効果的に使われドラマの切なさを引き立てています。

格差時代の始まり

80年代は「格差」を強く意識させられた時代です。70年代に「ダサい」という言葉が流行りだします。「だって、埼玉だから」が語源との説がありますが、埼玉や千葉が「東京人」から「やぼったい」と馬鹿にされた時代です。

地価の上昇もあり、居住エリアがステータスシンボルになりつつありました。東京はアッパークラス、それ以外はローワークラスと差別する風潮が生まれます。西日本や東北の出身者は、頭が良くてもお金持ちでも二枚目でも、一律に「田舎者」。

学歴偏重も年々激しくなります。60年ごろには8%程度だった大学進学率が70年代には27%程度まで上昇。男子については40%を上回ります。かつては大学を出ているだけでかっこよかったのに、大学に行くのが当たり前になると「大学名」が注目されるようになりました。

ディスコでナンパ待ちの女子は、男子の「大学名」を気にします。まだ女子学生の中心は「短大」でしたが、四大も短大も学校名で序列化され、男も女も中身より外身。車を持っているかどうか、何に乗っているのか、何線沿線に住んでいるのか。来ているポロシャツのブランドはどこか、靴のブランドはどこか。

企業も同様。「学閥」を構成し、大学名によって採用を最初から振り分けます。社会全体が、「一流大学」の者は勝者、偏差値の低い大学の者は敗者扱い。「ふぞろいの林檎たち」は、歪んだ社会の中で、もがき続ける若者の苦悩を描き、爆発的な人気を獲得しました。

バラードが盛り上げたドラマ

78年に「勝手にシンドバッド」でデビューしたサザンオールスターズは、当初は「コミックバンド」の印象でした。3枚目のシングル「いとしのエリー」でそのイメージを完全に払拭。切ないバラードの名曲は大ヒット。以降もサザンといえばバラードというほど、素晴らしい楽曲を作り続けています。

番組内では、この曲以外にも、「Bye Bye My Love」「Ya Ya(あの時代を忘れない)」「栞のテーマ」などのバラードが使われています。いずれもドラマの一番盛り上がる場面で効果的に使われています。

社会のひずみを背にもがく若者たちのストーリー。苦々しいけれどもセンチメンタルな感傷のわき起こる物語。ドラマのタイトル名は歴史に残る秀逸さでしょう。「いとしのエリー」とともにもう一度観てみませんか?

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