Category : トレンディドラマが火をつけた恋

W浅野を抱きしめたい

80年代後半はバブル絶頂期。世の中はお金が余り、「高いものは良いもの」という風潮がまかり通っていました。お金が男の価値を決める重要マターとなり、いいスーツを着てブランド物のセカンドバッグを抱えるのが当たり前。似合いもしないのに20万円のスーツを着てデートに向かう若者が続出します。 特別な時代に生まれた特別なドラマがトレンディドラマ。流行を追いかけることが一番かっこいい時代に、流行の最も華やかな部分をみせてくれました。

社会の歯車が壊れた時代

証券会社の社員のボーナスは、「札が立つ」と言われるほどの高額。中堅クラスの20代前半のOLですら、100万、200万というボーナスを受け取りました。男子社員は身分不相応な金を手にし、使い道に困ります。深夜まで働いて朝までポーカーゲームとばく、などというただれた生活をするのも現れました。

午前0時を過ぎても飲むのは当たり前。2軒、3軒とハシゴして帰りはタクシー。夜の銀座はタクシー待ちの長い行列。1万円札をちらつかせて車をとめる若者もいました。社会全体が金を持ち、金の使い方がよくわからず浪費を続ける。

そうした天国のような暮らしが未来永劫続くものだと、皆が勘違いしていた時代です。20代の若者がアメックスのゴールドカードを持てました。身の回りのものすべてに金をかけ、高級なマンションに暮らす。大した努力をしなくても、そんな生活が手に入った時代です。

W浅野がおしゃれな生活をみせました

浅野温子は鋭く美しい目が魅力の女優。「スローなブギにしてくれ」ではぞくぞくするほどの女ヒョウのような美しさを見せました。それが一転、美しいだけではなくコミカルな面もみせたのが「抱きしめたい」。浅野温子のイメージをがらりと変えました。

浅野ゆう子は歌手としてデビューしたものの、ヒット曲はなし。その後はもっぱらモデルとして活動。カネボウのCMなどで注目を集めます。女優としては役には恵まれずほとんど消えかかっていました。そんな彼女を変えたのが「抱きしめたい」。突然、人気女優となります。

恋愛ドラマで女性ふたりが主人公というパターンはW浅野のドラマだけ。その点では画期的な物語です。二人の住む部屋がおしゃれで、「あんな部屋に住んでみたい」と、バブル少女たちの心を揺さぶりました。岩城滉一、本木雅弘、石田純一という二枚目俳優が着ている流行のスーツは、モテる男子の標準スタイルとなります。

当時30才手前だった二人。若い男女の恋愛ではなくちょっと大人の男女の恋物語という点も、それまでにない特徴でしょう。「30前後で独身」をかっこよくしてしまい、その後の結婚年齢の上昇を促進した面があったかも知れません。

バブルとともに出現し、消えていったトレンディドラマ。オメガトライブの歌う主題歌「アクアマリンのままでいて」。意味不明のタイトルも当時は新しかった。バブルが何だったのか思い出せてくれる懐かしいドラマです。

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