Category : 勧善懲悪を学んだ時代劇と刑事もの

弱き庶民を守るため、今日も平次の銭がとぶ!

世の中には、数多くの名探偵が存在します。推理をめぐらし、難事件を解決へと導いていく姿は実に魅力的です。江戸で岡っ引きをしている平次も、そんな名探偵の一人に数えられるでしょう。卓越した推理力を武器に、子分の八五郎とともに難事件に挑む平次。往生際の悪い犯人には止めとばかりに得意の投げ銭を食らわせる。この二つの武器を駆使して事件を解決していく、彼の魅力に迫ります。

江戸の名探偵は世界記録保持者

「銭形平次」は、野村胡堂の小説「銭形平次捕物控」を原作にした作品です。舞台は江戸時代。主人公の平次は江戸の神田明神下に住み、岡っ引きを稼業にしています。通称の「銭形平次」は、彼の特技である投げ銭に由来します。この特技と推理力を生かして事件を解決する姿は爽快であり、1931年に連載が始まるとすぐに映画化され、大ヒット。その後も何度となく映画やテレビドラマになり、人気の高さがうかがわれます。

なかでも大川橋蔵さんが主演したテレビシリーズは1966年から1984年にかけて全888話を放送し、記録的な長さを誇ります。同一俳優、同一主人公による1時間ドラマとしては史上最長であり、ギネスブックで世界記録に認定されているほどです。

投げ銭のテクニックは超人クラス

投げ銭には寛永通宝が使われています。1636(寛永13)年に鋳造が開始され、幕末まで広く流通した銭貨です。形状は直径約24ミリの円形、重さは約3.5グラム。投げ銭は、小石を投げる感覚に近かったようです。中央に四角い穴が開いており、ひもを通すと持ち運びに便利でした。何回か投げ損なっても、いわゆる弾切れの心配はなかったでしょう。しかし、威力が小石レベルだからと、侮ることはできません。ひとたび平次が手にすれば、強力な武器に早変わり。平次の投げ銭によって、犯人たちはことごとくお縄につくのです。ときには目を疑うようなテクニックも披露します。落ちてくる柿を真っ二つにしたり、縄を切ったりしてしまうのです。ここまでくると職人技というより超人技です。さすが「銭形」の異名をとるだけのことはあると、感心するしかありません。

異性だけでなく同性にも愛される良い男

「岡っ引き」は、あくまで非公認の仕事です。身分は、一介の町人クラスに過ぎません。平次の身分は、決して高くはないわけです。だから住居は、お世辞にも広くてきれいとは言えない長屋です。それでも権力に迎合することなく、庶民の味方を貫きます。

そんな彼の性格が吉と出たのか、恋女房のお静はとても美人です。良い男は、収入が低くてもステキな人と結婚できるのです。子分の八五郎も、毎度のように「親分てぇへんだ~」と言いながら平次のもとへ飛び込んできます。頼りにされている証拠でしょう。あげくに、同じく岡っ引きである三ノ輪の万七にはライバル視されてしまいます。平次の有能ぶりを認めたからこそ芽生えた意識でしょう。彼の場合は愛情を通り越して嫉妬に近いですが、いずれにしても良い男は同性にも愛されています。

明快な推理は弱き庶民を守るため

「銭形平次」は原作の連載と同時に映画化され、テレビシリーズがギネス記録に認定されるほど高い人気を誇りました。主人公である平次の魅力は、難事件を見事に解決する推理力、そして犯人を捕らえるときに発揮する投げ銭テクニックです。しかし、根底には弱い立場の庶民を思う心があります。そんな人情味あふれるヒーローの活躍を、改めて味わってください。

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