Category : 勧善懲悪を学んだ時代劇と刑事もの

桜吹雪の咲き乱れるときが、悪党たちの運の尽き!「遠山の金さん」

遠山金四郎景元は、いつも弱き町人のために権力を行使する江戸の名奉行。その方法は少し変わっていて、普段は遊び人の姿で町の様子をうかがっています。何か事件が起きても決して身分は明かさず、遊び人として人々を苦しめる悪党に立ち向かっていきます。

しかし、その一部始終は体に刻まれた桜吹雪が見届けているのです。桜吹雪とともに名裁きを下す遠山の金さんの勇姿を、今一度振り返ってみましょう。

遊び人の目印は桜吹雪

「遠山の金さん」こと遠山金四郎景元は江戸町奉行を務めており、いわば権力を行使する立場にあります。それにも関わらず、普段は「遊び人の金さん」として気のいい町人を演じているのです。

しかし決して、仕事をさぼっているわけではありません。ひとたび事件が起きると、この仮の姿の真価が発揮されます。事件の関係者たちに接触して容疑者のふところに入るなど、いわゆる潜入捜査が可能になるわけです。金さんの働きにより、やがて事件の真相や黒幕も暴かれることにます。

当然のことながら、黒幕とその取り巻きたちは事件の隠ぺいをはかり、金さんたちに襲いかかります。いよいよ、金さんの本領発揮です。片肌を脱いで桜の彫り物をあらわにし、「散らせるものなら散らしてみろ」の決め台詞とともに大立ち回り。一度見たら忘れられないような桜吹雪をお披露目しながら、次々に悪人たちを倒してしまいます。その強さに、見事な桜が花を添えるのです。

桜吹雪は、二度、咲き乱れる

遊び人の金さんの活躍により悪党一味は捕まり、後日、取り調べのためお白洲へ連行されます。被害を受けた人たちも同席し、準備は万端。「ご出座」の呼び声とともにお奉行様が登場し、吟味開始です。

お奉行様が罪状について問いただすと、黒幕たちは白を切って犯行を否認します。決め手に欠けた状態で、被害者たちはすっかり困り顔。しかし、ここで思い出したように金さんの名を口にします。桜の彫り物を身にまとい悪人たちをことごとく返り討ちにした、あの遊び人の金さんです。

さすがの黒幕たちも少し焦りますが、ひるみません。逆に、どこの誰とも分からない遊び人を呼べるわけがないと開き直ってしまいます。ここぞとばかりに黒幕側は騒ぎはじめ、やがてボルテージは最高潮。その瞬間、あの桜吹雪が再び降臨。しかも、目の前のお奉行様の御身に咲き乱れています。忘れるはずのない桜を前にしては、さすがに誰も釈明できず「これにて一件落着」です。

あるときは遊び人、あるときは名奉行、その正体は?

「遠山の金さん」のモデルは、遠山景元という実在の人物です。通称は金四郎であり、天保年間の1840年に北町奉行に任命されています。若かりし頃に彫り物を入れたという説があり、これが「桜吹雪」の由来です。

実際には確実な記録がないため、本当に彫り物をしたのかなど真相は謎のままです。しかし、奉行時代によく袖を気にしていたなど、彫り物の存在をほのめかす話は残っています。またドラマ通りではないですが裁きには定評があり、12代将軍徳川家慶にその腕前を賞賛されたほどです。

権力の側にありながら常に町人の味方だったという姿も知られています。当時は、老中水野忠邦が中心となり天保の改革を進めた時代。この中で町人の生活に不利益となるような法令には反対し、老中や目付と対立しました。このようなエピソードからも、罪なき町人の力になろうとする「遊び人の金さん」の姿が想像されるでしょう。

いずれも町人のために尽力するお奉行様

素性を明かさず悪に立ち向かう「遠山の金さん」は、最後は弱者のために権力を振るいます。町人の利益のためなら、老中や目付にも歯向かった姿は、まさに遠山景元そのもの。いずれも町人が苦しむ姿を見過ごせない、という点で共通しています。裁きの腕前を高く評価されている点も、名奉行の名に恥じません。この名ドラマに触れる機会があれば、記録の有無は気にせずに、お奉行様の御身に咲き誇る桜吹雪に、酔いしれてください。

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