Category : 懐かしいあの歌をもう一度

金曜日には妻が恋に落ちて

それまでにも、不倫を描いたものはいくつかありましたが、暗く後ろめたく描かれるものがほとんど。しかも男性視点のものでした。不倫の主役はいつも男。それを変えたのがこのドラマ。

不倫の主役を女に変えた、おしゃれに変えた

83年にスタートした「金曜日の妻たちへ」は、女性の目線も加えて不倫をおしゃれにしました。時代はバブル景気の直前で、社会全体がエネルギーをため込んでいました。かつての「団地」は都心に住めない者が移住する、所得階層の比較的低いクラスの街。このドラマの場面設定となる東京の西部には、それとは異なるものが出来つつありました。

アッパーミドルクラスの集まる新しい団地。そこそこの時間と金を持った40代前後の、まだ恋ができる人たちで溢れ始めています。休日でもジャージで過ごさないおしゃれな男、ブランドものを着こなす女。そういう男女が集まって、秘密の恋の魅力に落ちていきます。このドラマは「金妻」と略されましたが、「妻」の不倫をテーマにした画期的な物語です。今では既婚女性の不倫は決して珍しくはなくなりましたが、このドラマが火をつけたのでしょう。

3シリーズで出演者は異なります。女優は、いしだあゆみ、小川知子、石田えり、高橋恵子、岡江久美子、篠ひろ子、田中好子、森山良子など美しく色気のある人たちが使われています。葛藤を感じながらも不倫を楽しむ女性たちの姿が、主婦層に「不倫に対する憧れ」を植え付け、不倫を「美しいもの」に変えてしまいました。

主題歌は3曲。でもやっぱり、恋に落ちて

1作目の主題歌は、ピーター・ポール&マリーの大ヒット曲「風に吹かれて」。元歌はボブ・ディランの63年の曲。大昔の曲を使っていました。2作目の主題歌は、84年のアメリカのダンス映画「フットルース」で挿入歌として使われたバラード。マイク・レノ&アン・ウィルソンが歌っています。

「金妻」の曲といえば、誰もが思い描くのは小林明子の「恋に落ちて FALL in love」。レコード売上が低迷する時代に100万枚近いメガヒットになり、レコード大賞の新人賞を受賞します。小林明子は学習院大学の哲学科卒という変わり種。現在はイギリスで歌手活動を行っています。作曲は小林明子自身ですが、作詞は湯川れい子。湯川は山本五十六とも親戚関係にある良い家柄のお嬢様です。育ちの良さが洗練された歌詞につながっているようです。

不倫をドキドキわくわくする物語に変えた「金曜日の妻たちへ」。これを観れば、長年連れ添った妻相手にはすっかりED気味のオヤジも、再び恋愛に燃えてみたくなるはず。もし夜の元気が必要ならば、専門クリニックに行くべきですよ。さあ、恋をしましょう!

Recommend