Category : トレンディドラマが火をつけた恋

東京のラブストーリーは突然に

70年代には「お茶の水女子大学」の学生といえは、とてつもない才女です。ただし、あまり男子学生にはモテませんでした。まして、「哲学科」では男子には相手にされるはずがありません。そんな女子は、「漫画でも描くしかない」と考えたかどうかはわかりませんが、「紫門ふみ」は漫画家弘兼憲史のアシスタントとなり、それが縁で80年に結婚。

以降発表する漫画が時代にマッチし次々とヒットします。「かわいらしくない」女の子が主人公というヒネリが、効いていました。88年に「ビッグコミックスピリッツ」に連載を開始した「東京ラブストーリー」は男子のみならず、女子の人気も集めます。91年にドラマ化されて大ヒット。とことん切ない物語です。

ドロドロの関係がいつまでも尾を引くしつこさ

主人公の「カンチ」はどっちつかずな男。まさに80年代の若者の象徴です。恋人の「リカ」は積極的な女子。上司とも不倫し、カンチとも付き合い、結局シングルマザーとして生きる道を選択します。

男子にウケたのは、「積極的な女の子」の「リカ」。90年前後は、20代の男性が女性からアプローチされるのを待っていました。この頃から女性が強く、男性が弱くなる傾向が続いているのかもしれません。それから20年以上が経過した現在、若年層でもEDを訴える人が増えているのも、仕方がないことでしょう。幸い20世紀の末にはいい治療薬が出来ましたから、いい時代になったものです。

さて、「カンチ」は初恋の女子を諦めきれずに、いつもグダグダしています。それで「リカ」を傷つけることにもなりますが、都合の良いことに「リカ」はひとりで何とかする人。自立できない男にとっては、誠に便利な女子ということになります。「カンチ」はただ悩むだけで、実際には何もしない。知らないうちに問題は解決します。 こうした役柄に、織田裕二が見事にはまりました。奔放な「リカ」役の鈴木保奈美もぴったり。最高視聴率は30%を超える大ヒットドラマとなりました。

ラブストーリーは突然に

主題歌は小田和正の作。オフコース時代から甘いラブソングを作り続け数多くのヒット曲を生み出しています。「愛を止めないで」「さよなら」「YesNo」「言葉にできない」「TesYesYes」など、切ない愛を歌わせたら右に出るものはいないというほど素晴らしい音楽家です。ただ、実際には歌詞の内容は大したことを語っているわけではありません。この曲を作った当時、小田和正本人も「ラブソングはもううんざり」と考えていたそうです。 そうはいっても、ドラマの中でこの曲が背景に流れると、場面全体がぐっと締まり切ない感じがどっと吹き出します。 どっちつかずな男女の愛憎劇を一度観ながら、切なくなってみませんか?

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